「これ、本にできたらいいのに」。自分のノウハウやアイデア、経歴、取り組みを本にしたい。思いを本として形にして多くの人に知って欲しい。できれば一般の本屋で並ぶような本に。
そう思うことは人生の中のどこかである。でも、どうやって?何より、自費出版と商業出版はどう違うのだろうか?
誰も教えてくれない本を出すための出版社への「営業」について
書籍のコンセプトや大まかな内容が決まったら、企画を本として出してくれる出版社を探すフェーズに入ります。出版社探しの方法は、大きく分けて下記の5つに分類されます。
1)出版社側から声をかけてもらうのを待つ
2)自分から出版社に営業をする
3)出版社の賞に応募する
4)知り合いに出版社の編集者を紹介してもらう
5)出版エージェントなどを利用する
作品を公開してファン獲得と営業を兼ねる
順に解説します。まずは1)出版社から声をかけてもらうのを待つケース。
個人のクリエイターやエッセイスト、実業家がSNS等で情報を発信し、それを見つけた編集者から問い合わせがあり出版に至るケースが増えています。最近は話題のアカウントや拡散された記事をチェックしている出版社も増えてきたので、自分でコンテンツとして形にし、発信できる人にとっては手軽な方法だと言えるでしょう。
メリットは営業の手間を取らなくてもよいことです。相手側から声をかけてきてくれたのであれば、その出版社で企画が採用されて決済が降りる可能性も高いでしょう。
デメリットは、どの出版社からお声がかかるか、発信側は選択できないところです。複数の出版社から引き合いがあれば条件面や相性が良い編集者を選ぶことができますが、そうでなければ「その出版社で出すか」「または1から自分で別の出版社に営業をかけるか」の二択になります。比較対象がないため、本を出してから別の出版社で出した方がよかったのではと後悔するケースもあるようです。
また、作品や自分のアイデアを発信する手間もかかります。作品が安定的に見てもらえるように、SNSマーケティングの知識も必要になるでしょう。
問い合わせフォームから応募する
次に2)自分から出版社に営業をする場合、です。自分で出版社の問い合わせフォームから企画書を送ったり、SNSアカウントでDMを受け付けている編集者に自分で売り込む方法です。
メリットは自分から声かけできるので、企画の良さを自分で説明できることです。出版社の特性や編集者のタイプを事前に確認できていれば、採用確率も高めることができます。
デメリットとしては、問い合わせフォームからの応募の場合、すでに実績が豊富な著者を除いて、返信率が低いということです。編集者は進行中の書籍の制作等に追われているので、応募企画の審査に多くの時間をかけにくいのが現状です。
登竜門である賞に応募する
返信率の低さを解決する方法としては3)出版社の賞に応募する、があります。
出版社がコンテストを設けている場合は、特定の審査員が作品を見てくれることが確約されているため、一度は作品または企画に目を通してくれる可能性はあるでしょう。
デメリットは賞を設けているジャンルが限定されることです。また著名で出版化が確約されている賞ほど狭き門であることです。
文芸賞やテーマに基づくエッセイ、絵本などは比較的多くコンテストが設けられていますが、それ以外のジャンルは応募する先が見つけにくい傾向があります。また、受賞作品は当該コンテストの過去の受賞作品の傾向や、出版業界の潮流、社会的変化、そして同時期に応募してきた作品との調整で決まるため、作品として優れていても必ずしも大賞に選ばれるとは限りません。
佳作などに引っかかったことをきっかけに声がかかるケースもありますが、惜しいところまで行っても出版の話に繋がらないケースもあります。
知り合いの縁を利用する
採用確率を高めるために有効なのが4)知り合いに出版社の編集者を紹介してもらう、です。
知り合い経由であれば、ひとまず企画を説明する機会は得られるため、企画と出版社の相性が合えばそのまま採用となるかもしれません。
デメリットは、企画と紹介してもらった編集者の相性が合わなければ、縁があっても形にはなりにくいことです。
著作権エージェントや出版プロデューサーを利用する
一長一短あるこれらの営業方法を解決するために、5)の著作権エージェントや出版プロデューサーを利用する方法もあります。
著作権エージェントや出版プロデューサーによって営業方法はまちまちですが、企画を代理で営業してくれたり、出版社と会う機会を設けてくれます。
出版社選びのポイント
営業方法の他に考えるべきことが、もう一つあります。企画と出版社(または編集者)との相性です。有名な出版社や自分が好きな本を出している出版社が良いと思い込みやすいところですが、企画との相性がよくなければそもそも採用されません。また、書籍のクオリティや売れ行きを考えるうえでも、相性はよく考える必要があります。
下記の点はぜひ、専門性が低いところから確認することをお勧めします。
【専門性低】
- 企画と出版社の相性(売り方、得意なテーマなど)
- 類似したテーマの本の有無(注:かなり近しいテーマの本を直近で出していると、競合しないように類似企画を採用しない傾向があります)
【専門性高】
- 出版時の条件面
- 派生コンテンツの作りやすさ
- 得意な販促手法
- 編集者個人との相性、得意ジャンル
- 編集者個人の興味