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書籍『自分を傷つけることで生きてきた 自傷から回復するための心と体の処方箋』が2024年10月2日にKADOKAWAより発売

【書誌情報】

「精神科の診察室の外」から、生傷が絶えない人、傷跡に悩む人に並走する。

自傷行為はめったにない珍しいこと?

自傷行為と聞くと、「世の中にはいると思うけど私の周りにはいない」「10代の学生さんがする思春期の問題でしょ?」と思うでしょうか。自傷行為をしている人は滅多におらず、学校の外にはいないはずだと考える人は多くいます。

しかし、日本の高校生を対象にした2005年のアンケート調査によると、約10人に1人が皮膚を切る、コンパスの針で刺す、壁を殴る、ぶつける、根性焼きをするなどの自傷行為をしたことがあると判明しました。

また、2020年の国立成育医療研究センターの報告書では、小学校高学年のうち約17%の生徒が自傷経験ありと回答したと公表しています。

こうした先行研究からも、自傷行為は決して「少数派に起きている珍しいこと」ではないと言えるでしょう。むしろ、「自傷行為をしている人がいるかもしれない」という前提に立った上で、教育・福祉・医療が連携して「自傷行為」に気付き、支援につなげ、サポートする体制を整えていく必要があります。

「形成外科医」だからこそ

著者の村松英之氏は傷跡治療のスペシャリストとして、これまで約1000人以上の自傷痕で悩む患者さんの治療に携わってきました。「見える傷」の専門医の立場から、患者さんの「見えない傷」に向き合うため、自傷行為等の行動嗜癖を専門とする精神科医と連携しつつ、2022年には日本自傷リストカット支援協会を設立。形成外科の枠を超え、自傷行為の啓発・支援活動を行っています。

「心」と「体」でケアする

本書では、患者さんと対話を重ねながら「なぜ自傷行為をするのか」「なぜやめられないのか」を痛みの持つ効用から迫ります。また、傷跡のケアやカバーの仕方など「傷とほどほどに付き合う」コツを解説。また、複数名の患者さんに協力をあおぎ、体験談から「回復の手かがり」「傷を人に打ち明けること」「助けの求め方」についてヒントを探ります。そして、最新の傷跡治療のリアルと、実際に治療に踏み切った患者さんの体験談を掲載。

医師と患者の立場を超え、共事者として考え、書籍の形にまとめました。自傷行為に悩む方や、傷跡に悩む方、その家族や友人、また自傷行為を理解したい方に向けた一冊です。

【目次】

第1章 自分を傷つけることで生きてきた

  • 痛みが気持ちを楽にしてくれた  
  • 心のなかにある「名前のつかない感情」  
  • 「人に迷惑をかけたくない」  
  • 体を傷つけることで痛みが和らぐ? 
  • 心の痛みは見えない、体の傷は見える 
  • 痛みは自己感覚を取り戻すブレーキ 
  • 世間に知られていない大人の自傷 
  • 自己否定感の裏にある「生きづらさ」 
  • あなたにとってどんな意味がありましたか?  
  • コラム1 言葉にするためのヒント、次につなげるためのヒント

第2章 傷と〝ほどほどに〟付き合うために

  • 傷跡の自宅ケアってどうしたらいい?  
  • まず深呼吸して傷跡を観察してみよう  
  • 自分で手当てをすることが大切な理由
  • 傷跡が落ち着く目安は「1年」 
  • メイクは「滲出液が出なくなったら」
  • 白っぽさや茶色い傷が目立つなら  
  • 盛り上がってでこぼこになっていたら 
  • 傷跡が少しへこんでいる場合 
  • メイクアップ用品は常に清潔に保とう 

第3章 傷を人に打ち明ける

  • SNSを使うときの見極めチェックリスト 
  • 困ったときの相談窓口を知っておこう 
  • わかってほしい身近な人にYouTube を見せて  
  • 医者・心理士など医療機関へのかかり方  
  • 相談先は「ここだけ」より「たくさん」 
  • 反応の薄い医者だったら変えてもいいよ  
  • 診察室では悪い出来事を隠さない  
  • 「私のせい」をやめて次に行こう  
  • 自分を治せるのは医者ではなく自分  
  • 自傷する人を支える人へ  
  • 支援者のための「しないことリスト」  
  • 体のケアをすることで心のケアを学ぶ  
  • 困ったときは誰かに助けを求めていい  
  • コラム3 人からされて嬉しかったこと、してほしかったこと

第4章 そして周囲との関係を結び直す

  • 誰にも言えない苦しみをわかってくれた  
  • 「自分を大切にする」って何?  
  • 不安を断ち切ったのは「父への告白」  
  • いつかは子どもに打ち明けたい  
  • 自死を選んでもっとも傷ついたのは?  
  • 自分を一番傷つけていたのは「孤独」
  • 自傷仲間との決別が背中を押してくれた  
  • 回復のロールモデルは見つけなくていい  

第5章 傷跡を手放すこと、手放さないこと

  • 傷跡は勲章。私を信じてくれた人を信じたい  
  • 手術する3つのタイミングを覚えておこう  
  • 傷が治りかけのときに自傷したくなったら  
  • 「でも、自分のせいだ!」と思ったら  
  • 自傷の傷跡に対する5つのアプローチ  
  • 年月が自己嫌悪から私を救ってくれた  
  • 治療を始めたら半袖時間を増やしてみる  
  • 傷跡を別の傷に変える最終手段「戻し植皮®」

著者:村松 英之

形成外科医。「きずときずあとのクリニック」院長。日本で専門的に自傷行為の形成外科的な治療を行っている。自傷・アディクションの権威、松本俊彦氏との連携を取りつつリストカットの患者数百例と向き合っている。心理職や精神科ではカバーできない「自傷のその後」を形成外科医という立場からサポートしており、医師への自傷に関する啓発活動を積極的に行っている。2022年、松本俊彦氏監修の元、日本自傷リストカット支援協会を立ち上げる。

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